高倉天皇の寵愛を受けていた小督局は清盛の怒りを知り、密かに身を隠してしまいます。天皇は嘆き悲しんでいたが、小督が嵯峨野の辺りにいるらしいと知って、仲国に捜し出すよう命じます。片折戸のある家というだけの手掛りでしたが、折しも中秋の名月、何度も小督の琴の相手で笛を吹いたことのある仲国は、名月に向って小督が奏でるであろう音色を頼りに、嵯峨野に馬を走らせます。やっとそれらしい家を探し出して案内を請うと天皇の手紙を手渡し、月下の酒宴で舞を舞い、再び馬に乗ると去って行きます。
芦屋の里で宿を借りようとした僧は、里の人に断わられ、化け物が出ると警告されながらも無住の堂に泊まります。その夜里人の言った通り、不気味な様子をした者が舟に乗って現れ、僧の問いに答えて自分は源頼政に退治された「鵺」の亡霊であると明かし、仁明天皇の御所の上空の黒雲に潜んでいたところを頼政に打ち落され、猪早太にとどめをさされた事を語ります。その夜正体を現した鵺は、射落とされたときの様子、頼政は名を上げたが、自らはうつお舟に入れられて、淀川に流された有様を語って去って行きます。
薪を取りに行くため朝早く家を出た山人は、眠くなり道で寝ることにします。そこへ修行中の山伏もやって来て、長旅で疲れたため山人の近くで横になり寝ていると、用事があって使いに出た男が通りかかります。男は、山人が昼食用に持っていた苞(藁でつつまれた弁当)を見つけ盗み食いをしますが、山人が起きそうになると……。
野上の宿の遊女花子は、東国へ下る吉田少将と契りを結び、帰りを待ちますが、少将と取り交わした扇を手にして仕事をしないので、追い出されてしまいます。一方都に上る少将は野上に立ち寄り花子を訪ねますが行方がわからず、仕方なく都へ向かいます。糺の森に着いた少将達は、秋には忘れられてしまう扇にちなんで「班女」と仇名をつけられた花子に出会い、互に扇を見せ合って再会を喜び、あらためて契りを結ぶのでした。
大唐の天狗の首領是界坊は、かねがね神道の国である日本を魔道に引き込もうと決心し、日本の天狗の首領である太郎坊を訪ねて愛宕山までやって来ます。是界坊は太郎坊の庵室で自らの野望を語り、太郎坊も協力を申し出て、まず日本の天台山たる比叡の御坊に襲いかからんと嵐と共に去って行きます。場面が替わって、比叡山の僧が勅命を受けて参内するため下山する途中、俄かに天候が悪化し、垂れ込める黒雲の中から天狗姿の是界坊が襲いかかりますが、日本の仏神の力を合わせての総攻撃に降参し、逃げ帰ります。
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