四月 宝生会特別公演

2026年4月12日(日)午後1時始

能「摂待」

奥州を目指す義経と弁慶一行は、山伏摂待の高札のあるところに差し掛かります。これは佐藤継信忠信の母が、義経達が山伏になっている事を聞き、一行を留める為に立てたものでした。素通りするわけにもいかず、館に立ち寄る一行でしたが、母の老尼は義経達と信じて疑わず、それぞれの名を当て、継信の遺児鶴若も義経を指し示すに至って、正体を明かします。義経は弁慶に命じて、八島での継信の最後の様子を語らせ、自らの悲憤も吐露します。その後は酒宴となり、鶴若も健気に酌を取りますが、夜が明けて一行が立ち上がると、自分も連れていって欲しいと頼むのを、弁慶も皆も涙と共になだめすかして、老尼と鶴若を残して出立して行くのでした。

シテ 朝倉俊樹


能「西行桜」

京都西行庵の西行のもとに花見の都人達がやって来ます。花も一木、我も一人と静かな花見を楽しんでいた西行でしたが、はるばる出掛けて来たのだからと都人達を招き入れます。暫くは同席していた西行が思わず、これも桜の咎でもあろうかと詠吟すると、古木の内より老体の桜の精が現れ、歌の真意を質し、桜の咎とは何か、ただ花を咲かせるだけの桜に罪はないのではと言い、舞を舞い、明け方の闇に去って行きます。

シテ 佐野登


能「道成寺」

紀州道成寺の鐘再興の日、女人禁制という触れがありましたが、一人の白拍子が能力を説得して供養の場に入ります。女は烏帽子を着けると乱拍子という特殊な舞を舞い、僧達が眠った隙に鐘に対する執心を見せ、鐘の下に入ったかと思う間に鐘を落として姿を消します。僧がこの寺と鐘にまつわる恐ろしい出来事を語り、鐘に向って祈ると、引き上げられた鐘の下に蛇体となった女が現れ、僧と戦いますが、最後は日高川に飛び込んでしまいます。恋慕執心を描いた名曲。

シテ 今井基


狂言「柑子」

主人は、昨夜の宴会で三つ成りの柑子を土産にもらい、太郎冠者に預けたのを受け取ろうと冠者を呼び出します。ところが冠者の手元に柑子はありません。どういういきさつで無くなったかを語り始める太郎冠者ですが……。洒落も踏まえた太郎冠者の語りを中心とした曲。