神泉苑に御幸があり、池のほとりで涼をとる帝は、洲先に一羽の鷺を認め、臣下に捕らえて来るよう命じます。臣下は更にその由を蔵人に命じます。蔵人は臣下に対し、飛行自由な鳥がどうして捕まりましょう、と困惑しますが、勅諚なのだからと押し切られてしまいます。仕方なく蔵人が芦の陰より近づきますが、鷺はパッと飛び上って捕まえられません。そこで蔵人が下より鷺に向かって勅諚の由を言い聞かせると、鷺は神妙に舞い戻って帝に従います。喜んだ帝に五位の爵を授けられた鷺は、また大空に飛び立って行くのでした。
平清経の家来淡津三郎は、入水した清経の形見を持ち、都に上って来ます。淡津三郎の上京を訝しがる清経の妻に、三郎は清経の入水の事を報告し、船に残されていた形見の黒髪を手渡します。妻が形見を前に夢になりとも姿が見たいと嘆き悲しむと、清経の霊が在りし姿で現れます。清経は自死して行く自分からせめて贈った形見への想いを述べ、入水までのいきさつを仕方話に語り、修羅道に落ちた苦しみを見せて去って行きます。恋の修羅と言われる異色の修羅能。
小書「音取」は、シテが幕の方を向いた笛方の奏でる「音取」という特殊な旋律に惹かれるように現れます。
紀州道成寺の鐘再興の日、女人禁制という触れがありましたが、一人の白拍子が能力を説得して供養の場に入ります。女は烏帽子を着けると乱拍子という特殊な舞を舞い、僧達が眠った隙に鐘に対する執心を見せ、鐘の下に入ったかと思う間に鐘を落として姿を消します。
僧がこの寺と鐘にまつわる恐ろしい出来事を語り、鐘に向って祈ると、引き上げられた鐘の下に蛇体となった女が現れ、僧と戦いますが、最後は日高川に飛び込んでしまいます。恋慕執心を描いた名曲。
2人の男が、年越しに福の神の社へお参りに行き、豆をまいていると、笑い声とともに福の神が現れます。福の神は神酒を求め、酒の神・松の尾大明神にも供えてから、自らも楽しげに飲みます。最後にめでたく謡い舞って、笑いながら帰っていく祝言の場に相応しい演目です。