九月 宝生会定期公演

◇午前の部◇
2026年9月19日(土)11時始

能「六浦」

都の僧が東国行脚の途中、六浦の称名寺に立ち寄ります。折しも見事に紅葉する木々を見て、都にもこれ程の紅葉は無かろうと感心しますが、中に一本だけ紅葉してない木を見つけ不審に思います。そこへ女が現れ、その訳を語ります。昔、冷泉為相卿という方がこの寺に立ち寄ったとき、たった一本だけ紅葉していた木に和歌を手向け、その徳により以後紅葉する事がなくなったという。実は女はその楓の精で、夜になり月光の中に再び現れて、舞を舞います。

シテ 内田朝陽


能「項羽」

舞台は中国、揚子江の上流烏江の野辺です。草を刈った男達(ワキとワキツレ)は帰り道に通りかかった船の船頭(前シテ)に声をかけます。船頭が船賃のことを言い立てるので一度は断って別の場所へ行こうとする草刈でしたが、勧めによって対岸まで乗ります。また船賃のことを言い出す船頭は代わりに花を所望し、その花虞美人草の謂れを語り、古への項羽の最期を物語り、我こそ項羽の幽霊と名乗って消え失せます。草刈達が項羽の跡を弔っていると、虞氏(ツレ)を伴い項羽の霊(後シテ)が在りし姿で現れ、虞氏の最後、四面楚歌の中で奮闘した自らを語り去って行きます。

シテ 東川光夫

狂言「梟山伏」

山から帰った弟がおかしな病気にかかったので、心配した兄が山伏に祈祷をたのみます。山伏はこれは梟が憑いたのだと判断して懸命に祈りますが、一向に憑き物は落ちず、却って兄にうつって兄弟ともにホッホウと奇声を上げる始末。

◆午後の部◆
2026年9月19日(土)15時半始

能「咸陽宮」

威容を誇る秦の始皇帝の宮殿咸陽宮に、貢物を持って燕の志士、荊軻と秦舞陽が参内します。臨時の節会を開き二人を歓迎した帝は、燕の国の地図と樊於期の首を見て上機嫌になりますが、荊軻と秦舞陽はその隙を見て帝に飛びかかり、剣を突きつけます。帝は二人に琴の名手花陽夫人の話をし、毎日琴を聴いているが、今日は臨時の節会のために未だ聴いていない。死ぬ前に琴を聴かせて欲しいと望み、夫人に琴を弾かせるとその妙なる調べに油断した二人の手を逃れ、からくも命助かり、二人を討ちます。

シテ 和久荘太郎


能「富士太鼓」

内裏での管弦の催しがあり、太鼓の役は浅間という楽人に決まっていたが、住吉から富士という楽人が同じ様に太鼓の役を望んで都に上って来ました。帝は浅間に役を与えたのですが、不安になった浅間は富士を殺害してしまいます。一方、都に上った夫が戻らないので、妻は子を連れて都にやって来ましたが、夫は殺された事を知らされます。悲しみに沈む妻は、夫の形見の衣装を身に着け、太鼓のせいで夫を失ったと、子とともに恨みの太鼓を打ち、舞を舞い、衣装を脱ぎ捨てると住吉に帰って行きます。

シテ 今井泰行

狂言「雷」

都の藪医者が東国へ下り、武蔵野の広い野原で空から落ちて来た雷(かみなり)に出会います。したたかに腰を打った雷は、医者をみつけると威丈高に治療を命じます。腰に打たれた鍼(はり)を大げさに痛がる雷ですが、治療が効を奏して快癒すると、治療代のかわりに五穀成就を約束して昇天します。雷の生態の面白さ。