九月 宝生会特別公演

2025年9月14日(日)午後1時始

能「朝長」

九州日暮の里の日暮殿は、訴訟の為十年余り在京し、残された妻子を家人左近の尉が養っています。左近の尉は自分の田の鳥を追わせるため、主人の日暮殿の妻子に、もし鳥を追わなければ家を追い出すと脅して無理やり承諾させます。この地方の習いとして鳴子や鞨鼓を飾った鳥追船に乗り、二人に鳥を追わせている所に日暮殿が都から帰り、子の訴えに怒りの余り左近の尉を斬ろうとしますが、妻の訴えに思いとどまり命を助けます。


能「遊行柳」

遊行上人一行が東北白河の関を越え、更に道を行くと一人の老人に呼び止められます。老人は以前の遊行上人が通った道を案内し、古塚の「朽木の柳」に上人を伴います。新古今集にある西行の歌にも詠まれた名木であると語った老人は、上人から十念を賜り、柳の陰に姿を消してしまいます。上人達が木陰に夜を明かしていると、塚の中から声が聞こえ、やがて烏帽子狩衣姿の老体の朽木の柳の精が木陰より現れました。そして柳にまつわる故事、説話を語り、上人に報謝の舞を舞って去って行きます。


能「石橋 連獅子」

大江定基は出家して寂昭法師と名乗り、唐に渡り清涼山に至り、文殊の浄土へ懸かる石橋のもとに着きます。そこに通りかかった樵童は、寂昭が渡ろうとするのを止め、橋の謂われを語り、渡ることの困難さを示し、やがて奇瑞を見ることになるだろう、暫くここで待てと告げて去って行きます。すると荘厳な音楽が始まり、文殊菩薩の霊獣である獅子が現れ、豪快に獅子舞を舞います。連獅子では親子の獅子が登場し、より勇壮な舞をお楽しみ頂けます。


狂言「腰祈」

修行を終えた山伏は、本国に帰り祖父(おおじ)の家を訪れます。しばらく見ぬ間に祖父はすっかり年老いて、腰が曲がり、日々の暮らしに難儀をしている様子。そこで山伏は祖父の腰を、会得したばかりの行法によって祈り伸ばしてあげようと試みます。見事祈りが通じ、反り返るほどに腰が伸びた祖父ですが、行力が効きすぎてあまりにも窮屈だというので、今度は緩めてあげようと再び祈祷を始めますが…